大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 平成5年(ワ)12663号 判決 1995年3月13日

大阪府<以下省略>

原告

右訴訟代理人弁護士

三木俊博

東京都千代田区<以下省略>

被告

勧角証券株式会社

右代表者代表取締役

右訴訟代理人弁護士

坂本秀文

右訴訟復代理人弁護士

織田貴昭

嶋原誠逸

右訴訟代理人弁護士

松本好史

主文

一  被告は原告に対し、金二四七万五〇六八円及びこれに対する平成六年一月一三日から支払い済まで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用はこれを五分し、その二を原告の、その余を被告の各負担とする。

四  この判決第一項は、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

被告は原告に対し、金三四九万六六六九円及びこれに対する平成六年一月一三日から支払い済まで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、証券会社である被告の社員の勧誘を受け、三回にわたってワラント(新株引受権証券)を購入した原告が、右ワラント取引により損害を被ったとして、被告に対し、民法七〇九条及び七一五条に基づき、損害賠償を請求した事案である。

一  争いのない事実

1  被告は、証券取引を業とする株式会社である。

2  原告は、従前他の証券会社との間で証券取引を継続していたが、昭和六〇年八月ころ、被告十三支店の社員B(以下「B」という)の勧誘により、被告との取引が開始され、日本株式、転換社債、日本投資信託、外国株式、外国投資信託等平成五年四月五日まで数多くの取引を行った。原告と被告との取引については、原告の妻Cが窓口となってBと交渉した。

3  原告は、平成元年六月二六日、Bの勧誘により、ダイエー国内ワラント(以下「ダイエーワラント」という)五口を代金一〇一万円で購入し、次いで同年八月四日ダイセル化学工業外貨建ワラント(以下「ダイセルワラント」という)一〇口を代金一六六万一四〇〇円で購入した。更に同月一〇日日新製鋼外貨建ワラント(以下「日新製鋼ワラント」という)二〇口を代金三三二万三八一二円で購入した。

4  原告は、ダイエーワラントを同年七月一一日に一〇八万六九六一円で売却し、ダイセルワラントを同年一二月七日に一七二万九五八二円で売却し、それぞれ利益をえた。しかし日新製鋼ワラントは未だ売却されていない。

5  ワラントとは、新株引受権付社債が社債部分と切り離されて独自に取引の対象とされている新株引受権(分離型)のことであるが、ワラントが表章する新株引受権は、一定の期間(権利行使期間)内に一定の価格(権利行使価格)で一定数の新株を引き受けることができる権利である。ワラントは株価と連動して値動きをするが、株価と比較して変動率の高いハイリスク・ハイリターンな商品である。国内ワラントは市場取引が行われるが、海外ドル建ワラントは、証券会社と顧客との相対取引によるうえ、為替変動の影響を受ける。またワラントは権利行使期間満了後には無価値になる。

二  争点

1  被告の責任の有無

(原告の主張)

本件ワラントを原告に販売するに際し、被告自体または被告の従業員であるBに、次の様な違法行為があった。

(一) 証券取引法第四条、第一三条違反(脱法行為)

本件海外ワラント(ダイセルワラント、日新製鋼ワラント)は、形式的にはヨーロッパ市場で発行されたものであるが、その発行日以前に国内で販売されており、発行後日本に還流したのではなく、発行前から国内で売りさばくことを企図したもので、実質的には国内で募集、売出しされているにもかかわらず、証券取引法第四条(大蔵大臣宛届出)、同第一三条(目論見書の作成)という証券発行の基本的な法律要件を満たしていない。ヨーロッパ市場で発行するとの形式を用い、この法規制を潜脱して発行されたものである。

(二) 公序良俗違反

一般投資者に販売される証券は、①公正な価格形成が保障されていること、②形成された価格の周知方法(一般新聞に適時に公表)が講じられていること、③証券の内容が一般投資者に理解できることの要件を満たすことが必要である。

ところが、本件海外ワラントは、証券会社との相対取引であって、公正な価格が形成される制度的保障が全くない。また本件海外ワラントの証券会社店頭あるいは証券会社間売買取引の価格は一般新聞では全く公表されていなかった。更に本件海外ワラントの証券券面(表裏共)は、全文が専門的英語で綴られており、日本の一般投資者が自ら読解することは不可能である。かかる欠陥証券、不適格証券を一般投資者に向けて積極的に勧誘し、販売することは、公序良俗に違反する。

(三) 適合性の原則違反

ワラントは、投機性の極めて高い証券であるから、少なくとも株式投資の経験と知識が豊富である者、特に現物取引に比して危険性の高い信用取引や先物取引等の知識、経験があり、そのような投資指向を有する一般投資者に絞って勧誘、販売すべきである。しかるにBは、安全で確実な証券に限って投資する意向であり、危険性の高い証券への投資指向を有していない原告に、本件ワラントの購入を勧誘したもので、適合性の原則に違反する。

(四) 虚偽・誤導表示及び説明義務違反

ワラントは、商品構造が複雑で危険性が高く、しかも周知性がない商品であるから、証券会社は、特にワラントについて知識を有しない一般投資者にワラントの購入を勧誘するに際しては、ワラントの危険性、商品構造、取引の仕組み(相対取引であること等)、価格に関する情報等を具体的かつ個別的に説明する義務がある。かかる高度の説明義務を担保すべく、ワラント取引については、証券会社に説明書交付、取引の概要及び危険に関する事項の十分な説明、確認書徴求が義務づけられている。

しかるにBは、本件ワラント取引において、原告に取引説明書を交付せず、ダイエーワラントについては目論見書があるのにこれを交付せず、またワラント取引の仕組み、危険性等の重要事項について殆ど説明せず、特にワラントは期限到来によって無価値になることを隠蔽して、転換社債と類似の証券であり、危険性はないとの虚偽説明を行って、原告に本件ワラントを購入させた。

(被告の主張)

(一) 証券法違反について

否認する。日本国内において発行されておらず、かつ募集又は売出しのいずれにも該当しないワラント取引について、証券取引法第四条、第一三条の適用がないことは明らかである。

(二) 公序良俗違反について

否認する。

(三) 適合性の原則について

否認する。原告は会社の役員を務めた十分なキャリアを有する経済人であり、昭和三〇年前後から株式の取引を始め、以後三〇年以上の証券取引の経験を有している。本件取引のころには、被告への預かり資産だけで一億円弱に及び、被告との取引は、売りが一六〇回以上、買いが一五〇回に上り、その種類も内外の株式、転換社債、内外の投資信託、金地金等多様であり、これらの取引により約三〇〇〇万円の利益を得ている。原告の証券投資態度は、国内の超一流企業の株式や債権への投資を中心としつつも、一定の限度内では、よりリスクのある取引を行うことにより、より利益の上がる運用を行っていたもので、何ら適合性の原則に反しない。

(四) 説明義務違反等について

否認する。Bが被告に入社して始めて獲得した顧客が原告であり、転勤する平成三年二月まで被告と原告の取引はBが担当していたが、原告が損をしたこと等から、平成元年には、原告はBに全幅の信頼を寄せた状況ではなく、そのためBは専ら電話でCを通じて勧誘していた。

Bは、ダイエーワラントを勧誘した際には、権利行使価格があってその価格で権利を行使するもので転換社債とは異なること、利息は出ないこと、ギヤリング効果があって株式の二、三倍の変動幅のあること等を説明した。ダイセルワラントを勧誘した際には、ワラントの仕組みは国内のものと同じであるが、為替の変動を受けることを説明したうえ、その値段は新聞に載っていないので自分が伝える旨いい、日新製鋼ワラントについても値下がりしたときに売却を勧めたが、原告はこれに応じなかった。

2  原告の損害

(一) 原告は、本件ワラントの購入金額の合計からダイエーワラント及びダイセルワラントの売買代金を控除した三一七万八六六九円の損害を被ったとして、右金額及び弁護士費用三一万八〇〇〇円の支払いを求めた。

(二) 被告は、これを争い、原告が損害を生じ、その損害を拡大するにつき前記主張のような過失があるとして、過失相殺を主張した。

第三争点に対する判断

一  前記争いのない事実及び証拠(甲A一の1、三ないし五、甲B一ないし五、一〇の1、2、一一の1ないし3、一三、一四及び一五の各1、乙一の1ないし67、二ないし五、証人C、同B、原告本人)によれば、次の事実が認められる。

1  本件ワラント取引に至る経緯

(一) 原告は、東レ株式会社の事業部長を務めた後、子会社である東レスポーツセンター株式会社の常務取締役になり、昭和六〇年退職した。その後平成元年まで専門学校で英語と社会の講師をしていた。原告は、昭和三〇年ころから証券取引を始め、被告と取引する以前に野村証券等複数の証券会社との取引経験を有していた。

(二) 昭和六〇年八月ころ、Bが原告宅にセールスに来たことから、原告と被告との取引が開始した。Bとの交渉は、専ら原告の妻Cが当たり、証券の購入等については原告が最終的に決定した。原告と被告との取引は、本件ワラント取引まで百数十回に及び、損切りや外国株式での損失もあったが、原告は被告との取引で約三〇〇〇万円の利益を得た。また平成元年ころの投資額は約一億円弱であった。

(三) 原告の投資傾向は、一流企業の安定銘柄を長期間保有するものであったが、時には一流企業でないものを購入することもあった。またその種類は内外株式、内外投資信託、転換社債、中国ファンド、金地金等多様であった。被告と取引するようになってからは、原告もCも積極的判断で投資活動を行ったのではなく、専らBの勧誘、推奨に従っていた。原告やCはBと、Bの結婚祝を出す等仕事を離れた付き合いをしていた。

2  本件ワラントの勧誘状況

(一) Bは当初、取引を勧誘する際、原告の自宅に赴くのと電話とが半々の状態であったが、平成元年ころには、Bが勧めた投資信託で損をしたことやパトナムFについての説明に誤りがあったことで原告の怒りをかったため、Bが原告宅に赴くことはなく、専ら電話による勧誘を行っていた。

(二) Bは平成元年四~五月ころ、外貨建ワラントについての社員研修を受け、ワラントの商品性や市場等について勉強した。そして同年六月ころからワラントの勧誘を始め、同月二六日BはCに電話し、ダイエーワラント(国内)の購入を勧誘した。その際BはCに対し、ワラントとは権利行使価格があり、その権利を行使することによりその価格で株式を買うことができる権利であること、転換社債に似ているが、利息は支払われないこと、株式の価格により上下するが、上下幅は株式より大きいこと、買い付けるワラント数と価格を告げた。しかしワラントには、権利行使期間があり、右期間を過ぎると紙屑(無価値)になるとの説明はしなかった。Cはワラントについて知識がなく、危険なものではないかと聞いたが、Bは相場が安定している現在では危険がない旨答えたので、原告と相談のうえ、右ワラント五口を一〇一万円で購入した。またBはその後原告に対し、ワラントに関する説明書やダイエーの有価証券目論見書を送付しなかった。同年七月一一日、原告はBの勧めでダイエーワラントを一〇八万六九六一円で売却し、七万六九六一円の利益を得た。

(三) 同年八月四日、BはCに電話し、ダイセルワラント(外国)の購入を勧誘し、ドル建であるが、仕組はダイエーワラントと同じである。ドル建であるので為替相場の影響を受けること及び買い付けるワラント数と価格を告げた。しかし前回同様権利行使期間を過ぎると無価値になることやドル建ワラントは市場取引でなく、証券会社との相対取引であること及び価格に関する情報の説明はしなかった。原告は同日右ワラント一〇口を一六六万一四〇〇円で購入した。

(四) 同月一〇日、BはCに電話し、原告は鉄鋼が好きだからと言って、日新製鋼のワラント(外国)一〇口の購入を、同日更に一〇口の購入を勧誘し、これにより原告は右ワラント合計二〇口を三三二万三八一二円で購入した。その際BはCに対しワラントについて特に説明をせず、ワラント取引には確認書が必要であるので、同月四日付で確認書に署名・押印して送り返して欲しい旨を依頼し、確認書を送付したが、ワラント取引説明書は同封するのを忘れた。そしてCが原告を代行して外国新株引受権証券の取引に関する確認書(甲B二)に同月四日付で署名・押印して被告に返送した。

(五) 原告はBの勧めで、同年一二月七日ダイエーワラントを一七二万九五八二円で売却し、六万八一八二円の利益を得た。同月中ころBは、日新製鋼ワラントの価格が下がったので、Cを通じ原告に売却を勧めたが、原告はこれに応じず、右日新製鋼ワラントは権利行使期間の経過により無価値になった。

二  被告の責任の有無

以上認定の事実を前提に、原告主張のような違法があるか否かにつき判断する。

1  証券取引法違反について

原告は、本件海外ワラント(ダイセル及び日新製鋼ワラント)は、証券取引法四条、一三条に違反する旨主張するが、ワラントの多くが国内に還流していることだけで、日本国内において発行されておらず、かつ募集又は売出しに該当しないワラント取引が証券取引法に違反するということはできないし、国内での外貨建ワラント販売が証券取引法の脱法行為であるということもできない。

2  公序良俗違反

原告は、海外ワラントは、相対取引で公正な価格が形成される制度的保障がないことや一般新聞に価格が形成されず、またワラントの証券券面が専門的英語で綴られており、一般投資家が読解不可能であるとして、ワラントの勧誘自体が公序良俗に違反する旨主張するが、証拠(甲A七、甲B三、検甲一及び二の各1、2)及び弁論の全趣旨によれば、ワラントの売買価格(気配値)は、前日のロンドンにおける業者間のマーケットの最終気配値を基に、当日の東京株式市場の株式動向を考慮して各証券会社で決定されるが、実勢株価との関係や同業者との競争上、それほど大きな差は考えられないこと、平成元年四月一九日付で制定された「外国新株引受券証券の店頭気配値発表及び投資勧誘について」(日本証券業協会理事会決議)に基づき、同年五月一日から代表的銘柄については業者間取引の店頭気配を毎日公表するようになり、日本経済新聞にも掲載されることになったこと、被告においては、顧客からの価格の問い合わせに対し、その都度回答していること、海外ワラントの原券は英語で記載されているが、原券上に記載された詳細な内容がすべて投資家の意思決定に必要な訳ではないのみならず、外国証券の場合には、当該有価証券を外国の現地保管会社で保管し、本件の引渡をしないまま預かり証を交付することにより売買が行われるのが当然の前提となっていること、原告と被告間で締結した「外国証券取引口座設定約諾書」でその旨約定していることが認められ、これらの事実を勘案すると、ワラントの勧誘行為自体が公序良俗に違反するとはいえない。

3  適合性の原則違反について

一般に証券取引はリスクを伴うものであるから、自己の責任においてなすべきであるが、ワラントは一般に馴染みがなく、商品構造が複雑な金融商品であるから、年齢、職業、投資経験等からみて、取引の危険性の有無・程度等について、自ら判断する能力がないと認められる投資家に対して、ワラント取引を勧誘した場合には、勧誘行為が違法となる場合があるというべきである。

これを本件についてみるに、前記認定のとおり、Bとの交渉は原告の妻が窓口になっていたが、最終的な決定は原告がしていたこと、原告は大手企業の事業部長や子会社の役員を務めた十分キャリアのある経済人であること、原告は昭和三〇年ころから証券取引を行い、本件ワラント取引まで約三〇年の経験を有すること、原告は他の証券会社との取引をしており、本件ワラント取引まで被告との取引は百数十回、投資対象も内外株式、内外投資信託、転換社債、金地金等多岐にわたり、その投資資金も約一億円弱であったのであるから、投資経験、投資資金、知識等からみて、原告が右に述べたような判断能力がないとは到底いえない。したがって、原告にワラント取引を勧誘したこと自体が適合性の原則に違反したとはいえない。

4  説明義務違反

ワラントは前記のとおり、ハイリスク・ハイリターンの特質を有し一般に馴染みがないから、証券会社またはその社員は、ワラント購入を勧誘するに際して、投資家の職業、年齢、投資目的、投資経験等に照らして、投資家がワラントの危険性、商品構造等についての正当な認識を形成するに足りる情報を提供すべき義務がある。

これを本件について検討するに、前記認定の事実によれば、Bはダイエー(国内)ワラントの購入を勧誘する際、原告の妻Cに対し、ワラントが新株引受権であること、権利行使価格があり、その権利を行使することによってその価格で新株を取得できること、株価と連動し、株価より値動きが大きいことを口頭(電話)で述べただけで、権利行使期間が満了すれば無価値になることは説明しなかったこと、原告の投資傾向が主として安定銘柄を長期間保有するものであるのを知りながら、危険ではないかとのCの問いに対し、危険なものでないと答え、ワラントの危険性を十分説明しなかったこと、また有価証券目論見書やワラントに関する説明書も送付していないこと、更に海外ワラントであるダイセルワラントの勧誘に際し、ドル建であるから為替相場の影響を受けやすいことは説明したものの、海外ワラントが相対取引であることや価格に関する情報、権利行使期間経過後は無価値となることを説明しなかったこと、日新製鋼ワラントの取引後に原告に確認書を送付したが、その際ワラントの取引説明書を同封するのを忘れ、外貨建ワラントの危険性について十分説明しなかったのであり、かかる事実を総合すると、Bには説明義務違反があり、Bの本件ワラント勧誘行為は違法というべきであるから、使用者である被告は民法七一五条により原告の被った損害を賠償する責任がある。

三  原告の損害

1  前記認定の事実によれば、原告は、本件ワラント取引について差引き三一七万八六六九円の損害を被ったことが認められる。

2  過失相殺

前記認定の事実によれば、原告は会社の役員を務める等十分なキャリアを有する経済人であること、証券取引の経験が長いこと、Cや原告はBと仕事を離れた付き合いをしていたが、平成元年ころは必ずしもBを全面的に信頼する状況にはなかったこと、Cや原告はワラントについて知識がなかったのに、ワラントの仕組について調査・研究することもなく、Bの勧誘による被告との取引でこれまで利益を得たことから、Bが勧誘するままに安易に本件ワラントを購入したもので、損害発生につき原告にも過失があったと認められ、右過失を三割として損害から控除するのが相当である。

したがって原告の損害額は二二二万五〇六八円となる。

3  弁護士費用

原告が本件訴訟を弁護士に委任したことは明らかであるところ、事案の内容、認容額等を考慮すると、弁護士費用として二五万円を認めるのが相当である。

四  結論

以上説示のとおり、原告の請求は、金二四七万五〇八六円及びこれに対する不法行為後である平成六年一月一三日から支払い済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるのでこれを認容し、その余は失当であるのでこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条を、仮執行宣言につき同法一九六条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 將積良子)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例